よって、読みにくいかもしれないが、各市、各町教育委員および教育委員会事務局は、自らの社会的使命を果たすため、OECDの教育分野での分析レポートは精読することをお勧めする。(OECD東京事務所のホームページから検索可能。)
 OECD分析レポートの読み合わせ輪読会が行われるようになると、素晴らしい。(翻訳が待てない者は英文で読むこと。OECDの英語は平易で標準的。)
 
A「全国学力調査」結果の活用
(ア)全市、全町の「学校」ごと、「学年」ごと、「クラス」ごと、「教員」ごと、「生徒」ごとの学力状況を詳細に分析するプロジェクトチームを発足。
 
(イ)「すぐれている点」「改善すべき点」を「学校」「クラス」「教員」「生徒」ごとに正確に把握する作業を。
(ウ)3学期初めまでに方針を出し、学年末までに応急措置、綿密な計画を立て、来年度の1年間をかけ、根本治療を施すことが求められる。
(エ)とりわけ、「学力不足」「落ちこぼし」が見られる児童・生徒がいる場合には、当該学年度中に不足している学力を補うべく、具体的な作業を12月の学期末テスト終了時から行うことが求められる。学力不足のまま次の学年に送り込まないことが、児童・生徒のためには大事。
(オ)学校であるならば、全学校において「基礎学力第一」を方針として掲げるべき。
 
B「学習指導要領」全面改訂に備えて
(ア)パブリックコメントを経て正式決定される新しい学習指導要領に、自らの市や町ではどのように対応するべきかで、市や町の「カリキュラムの質」が決まる。
(イ)その場合、市、町としてどうするかにとどまらず、市や町にある学校での「新学習指導要領」への取り組みの基本方針を明確に示すこと。その最終意志決定をすることも、教育委員に求められる。
(ウ)全面実施する前に、必要なものはどんどん来年度からでも、もっと言えば明日からでも先行実施して、後から学習する人とのキャップを生じさせないでもらいたいというのが保護者の本音である。「十分な準備が整わないから、完全に準備が整うまでは実施に移すことはしない」という考えはわからないでもないが、「今は、少し後の学年で教える内容を現学年に教えることが困難であるほど教員のレベルは低いのか」という考えも十分成り立つ。
(エ)「教材」や「時間」「教授法」を工夫して、やれる範囲で、希望者にはどんどん新しい学習指導要領の内容も現学年のうちに指導するのが、児童・生徒の将来にとって親切なのではないかと私は考える。教育委員会として、先行実施を奨励する決定をすることを提言する。
 
(3)「教師の質」を高めるために
@「employability(エンプロイアビリティ、雇用される能力)」が求められる
 エンプロイアビリティの3つの意味 
(ア)「トップマネジメント(校長)としてのエンプロイアビリティ」
(イ)「ミドルマネジメント(副校長、主任、主幹)としてのエンプロイアビリティ」

次ページ