B経営上の意思決定の手法
(ア)「競合比較」
 自分の競争相手のよさや問題点を徹底的に分析。よい点、優れた点は素直な心で学び、問題点は反面教師として、当方ではそのようなことのないよう全力を尽くす。つまり、近隣の市や町で素晴らしい成果を上げていたり、大失敗があったらそれを最大限参考にして、当方は負けないくらいよい成果を出す。
(イ)「ベスト・プラクティスのベンチマーキング」
−実際に行われた最良の事例を素直な心で学ばせて頂き、当方に役立つ形に応用しながら、少しずつ導入を図る。−
1)「社内ベストプラクティスのベンチマーキング」
 同じ市や町の中である事柄について素晴らしい成果を上げていることがあったら、その成果を全市、全町あげて素直な心で学ばせて頂き、できるだけ簡単な形にして、少しずつ市内すべて、町内すべてに広める。また、内容を更に深化させる。
*社内ベストプラクティスの発表会を定例化し、積極的に行うしくみをつくることが成功の鍵。
2)「社外ベストプラクティスのベンチマーキング」
 自分の所属する市や町以外のところである事柄について素晴らしい成果を上げていることがあったら、素直な心でよいところだけを学ばせて頂き、できるだけ簡単な形にして、我が市、我が町に少しずつ取り入れる。
*国内、国外を問わない。視察チームをつくり、同じメンバーでベストプラクティスを考え、同じところを定期的に訪問すること(定点観測)と、旅費を予算化することが成功の鍵。
3)「異業種のベスト・プラクティスのベンチマーキング」
 「公教育」からみれば「異業種」である「私立学校」や「学習塾、予備校、スポーツ、芸術・学術の教室」などの「民間教育」、教育以外の公的部門、民間企業、NPOなどで素晴らしい成果を上げているところがあれば、素直な心でよいところだけ学ばせて頂き、その成果をできるだけ簡単な形にして、少しずつ取り入れる。
*テーマをできるだけを具体的に絞り込み、ピンポイントで長期間、継続的に調査することが成功の鍵。
(ウ)「競合比較」は競争相手に負けないで生き残るために、「ベストプラクティスのベンチマーキング」は「よいところ」だけ素直な気持ちで学ばせて頂き、少しずつ自分のところに合わせながら取り入れるために行うもの。「問題解決」のために行うもの。市や町のかかえる「問題点を先送りにしない」ために行うのが、ベストプラクティスのベンチマーキングである。
*視察ばかり行って具体的な成果、つまり教育上の成果が出なければ税金の無駄遣いとの行政評価が市民から行われても反論の余地はない。(社外取締役が「株主利益の最大化」という役割を果たさなければ、株主代表訴訟の対象になったり、株主総会で解任されると同様、教育委員も与えられた社会的使命を果たさなければ、市民・町民から批判の対象となる。事務当局からの原案の承認議会になっているようだと、「教育委員会、無用論」の原因となる。)

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