ドラッカーやコトラー、マイケル・ポーターなど各先生の著作は、本格的に腰を落ち着けて読めば読むほど実効性が高いことがわかります。消費者保護法、個人情報保護法、会社法や労働法、独占禁止法などをはじめとするビジネス法規の無知は許されません。製造業では、ISOの取得がなければ取引すらできない場合がありますので、経営者はその骨格を知る必要があります。株式を公開したり、上場している会社では「内部統制」のしくみが十分整えられる必要があり、経営者としての専門的教養として、内部統制の知識は不可欠です。
 
Q:「経営者としての専門知識」とは何ですか。
A:まずは、その会社の業務内容を、顧客や地域社会、ビジネスパートナーにわかりやすく説明できるレベルまですべて熟知すること。
 経営トップとして、会社の企業ドメイン(事業領域)、競争状況、財務状況、組織上の問題点、各事業別の問題点、人事の問題点を熟知すること。
 これから新商品、新技術、新販路、新業態をどう開発するかについてリーダーシップが発揮できるだけの専門知識が経営者としては求められます。
 
Q:今後、林さんが勉強すべきだと自覚しているテーマは何ですか。
A:第1は、「サービス産業の生産性の向上のために製造業から学べることは何か」です。日本の製造業と比べ、日本のサービス業の生産性は極めて低いと大きな問題となっています。「2010年までに日本のサービス産業の生産性を現在の1.5倍にする」と政府の骨太方針にも記された程であります。
 人口減少社会の影響を受け続けている学習塾も他のサービス業と同様、生産性が低く、教職員の待遇改善も十分にできない状況が続く学習塾も多いのが現状です。
 開倫塾でも早急に生産性向上の取り組みが求められていますので、私の取り組むべき最大のテーマは、サービス産業における生産性の向上を製造業から学ぶことであります。
 第2は、開倫ユネスコ協会の設立基本理念であり、来秋国立宇都宮大学国際学部で講義を担当する「人間の安全保障」についての勉強を深めることであります。
 第3は、OECD(経済協力開発機構)のIMHE(高等教育管理)プログラムのメンバーにならせて頂いておりますので、OECDのIMHEを中心として大学等の高等教育機関の経営についての勉強を深めることです。大学コンソーシアムとちぎの研究員としてレポートをすると同時に、開倫塾でスタートしようとしている企業内教職専門職大学院2010年スタートに向けた準備のために、この第3の勉強は私にとり必要不可欠と考えています。
 
《5.若きビジネスマンに勉強に関して助言されたいことを5つ程リストアップして下さい。》
Q:若いビジネスマンが勉強するとき気をつけた方がよいことは何でしょうか。
A:(1)小学校や中学校、高校、大学、大学院、専門学校、専修学校、学習塾、予備校などで勉強したときに使った教科書や参考書、ノートは、大事な宝物として確実に保存した上で、折に触れて読み直し、社会人としての生活に役立てて下さい。
 ありとあらゆる仕事は、学校での勉強の上に成り立っています。仕事の基礎はすべて、学校の教科書や参考書、ノートの中にあります。切角、保護者の皆様のお陰で学校での勉強をなさったのですから、学校での勉強を大切に大切にして頂き、その上に仕事上の知識を身に付けて下さい。

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