(3)更に、その内容を他人に伝えた方がよければ、わかりやすいことばで説明をし、伝えるためにはどうしたらよいかを考えること。他人のために伝えようと考えたことを文章にしておくことも有用です。そのとき大事なのは、次の孔子の教えです。
 「論語」に、「曽(そう)子(し)曰(い)わく、吾(われ)、日に三たび吾が身を省(かえり)みる。人の為(ため)に謀(はかり)りて忠(ちゆう)ならざるか。朋友(ほうゆう)と交わりて信ならざるか。習わざるを伝(つと)うるか。
(通釈)孔子の門人の曽子が言った。私は一日の中で何回も何回も主として次の点について反省する。一つは、他人のために相談に乗った時、ほんとうに誠意をもって考えてやったか、ということ。二つは、友達との交際において、信義を尽くさないことはなかっただろうか。そして、三つには、まだ自分の知識として完全に消化されていない事がらを、他人に教え伝えはしなかっただろうか、と。」(四−四)とあります。
*前掲書、4〜5ページより引用。
孔子の教えにあるように、自分でよくわからないことは伝えないことが、相手のことをよく考えれば当然であります。
 
《4.経営者あるいは経営幹部として活躍し続けるために今勉強されているテーマは何でしょうか?今後勉強すべきだと自覚されているテーマは何でしょうか?3つ程あげて下さい。》
Q:経営者あるいは経営幹部としての勉強にはどのようなものがあるとお考えですか。
A:経営者としての「一般教養」、経営者としての「専門的教養」、経営者としての「専門知識」、この3つだと私は思います。
 
Q:経営者としての「一般教養」とは何ですか。
A:人間とは一体何なのか、人間の幸せとは一体何なのか。人は何のために生きるのか。人類はどのような歴史をたどって現在に至ったのか。日本は、この地域は、これまでどのような状況で、これからどうなるのか。
 日本をとりまく国々は現在どのような状況なのか。これからどうなるのか。とりわけ、地域紛争は、戦争はどのような状況か。
 日本、アジア、世界の経済状況はどのようになっているのか。当地の経済状況はどうなっているのか。日本の財政、少子高齢化、人口減少、外国政策、消費税の動向はどうか。為替の状況。円高が進めば進むほど増える失業の状況。
 要するに、世界や日本の歴史・地理・哲学・思想などをふまえ、日本経済新聞に書いてある程度のことがよく「理解」できるか否かが経営者としての「一般教養」の目標かもしれません。併せて、日刊紙「ヘラルドトリビューン」「フィナンシャル・タイムズ」やロンドンで編集されている週刊経済誌「The Economist(エコノミスト)」が読みこなせるレベルが、経営者としての「一般教養」の目標かもしれません。
 
Q:「経営者としての専門的教養」とは何ですか。
A:チェーン展開(多店舗展開)するのに、チェーンストア理論を知らないでするのは、戦いに行くのに武器なしで行くのと同じで、負けははじめから決まっています。
 会社が大きくなっているのに、「財務」、「マーケティング」や「戦略論」を知らないのでは話にもなりません。

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