丸の内北口通信(5)                                     2007年9月5日
 
 
公務員(国家公務員、地方公務員)の免職法制の活用を
−「簡素で効率的な政府」づくりの前提条件を考える−
 
 
林 明夫
 
Q:国および地方の行政改革は、民間企業の目から見れば財務がほぼ破綻状況にあるため避けて通れないようです。国や地方自治体の予算のうち人件費の占める割合が高いようですが、公務員は財政状況悪化を理由に免職つまり解雇できるのでしょうか。
A:(林明夫:以下省略)公務員の身分を規定する国家公務員法と地方公務員法の上では、免職つまり解雇は可能です。
 
『国家公務員法78条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、人事院規則の定めるところにより、その意に反してこれを降任し、又は免職することができる。
 四(号)官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合』
 
『地方公務員法第28条 @職員が左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
 四(号)職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合』
 
Q:国家公務員、地方公務員ともに、仕事がなくなったり、仕事に割当てられた定員が削減されたり0(ゼロ)になったりしたときや予算が少なくなって仕事がなくなったり、人員が多すぎたときは免職つまり解雇できるのですね。驚きました。今までに、この条文を使って免職つまり解雇をしたことはあるのですか。
A:昭和20年代の前半、吉田内閣の下で、戦争が終わって軍隊から戻った国家公務員数万人は、国家公務員法第78条第4号の適用があり免職つまり解雇されたようです。以来、この国家公務員法第78条第4号の適用事例はありません。
 
Q:林さんは、国家公務員や地方公務員の免職つまり解雇には賛成なのですか。
A:仕事がなくなったり、財政状況が悪化して予算が組めなくなったなど国家公務員法第78条第4号や地方公務員法第28条第4号に規定されている場合には、公務員であっても免職つまり解雇される場合がありうると考えます。
 「簡素で効率的な政府(中央政府、地方政府)」づくりに、この法律を積極活用すべきと考えます。
 
Q:この法律を活用するにはどうしたらよいのですか。
A:国家公務員法第78条に関する「人事院規則」を定めることが先決です。先頃、憲法改正に関する国民投票法が制定されました。憲法の条文の中には国民投票を経て憲法を改正する条項があるのに、憲法改正の国民投票法という手続き法がないために、実質上憲法改正ができない状況が憲法制定以来続きました。法的整合性の欠如、何もしなかったことの責任(不作為責任、ふさくいせきにん)が問われ、先頃ようやく憲法改正に関する国民投票法が成立の運びとなりました。同様に、この国家公務員法第78条の国家公務員の免職条項についても、人事院規則の未整備は、法的整合性の欠如、何もしなかったことの責任つまり不作為(ふさくい)責任が問われますので、早急な法規定の整備が求められます。

次ページへ