丸の内北口通信Q
2008年5月2日
 
公立高校の学区制を考える
−受験生の選択肢を広げるため、各都道府県は公立高校の一学区制(無学区制)を推進すべき−
 
                                                   開倫塾
                                                   塾長 林 明夫
 
Q:栃木県はじめ全国の都道府県教育委員会では、公立高校の学区制を見直し、一学区制(無学区制)に移行する議論が行われていますが、林さんはどうお考えですか。
A:(林明夫:以下省略)全県一学区は大いに進めるべきと考えます。公立高校に進学を希望する受験生にとって何が幸せかといえば、受験することのできる学校が多ければ多いほど幸せであると私は考えるからです。その学校に合格できるかどうかは本人の努力次第で決まり、合格できるだけの成績が取れれば合格するし、取れなければ合格しない。これは、いたしかたないことであります。しかし、進学を希望する公立高校を受験する機会(チャンス)だけは平等に与えて頂きたい。学区外の受験生は25%しか合格させないというのは、同じ県民でありながら、学区外の受験生は高い点数を取らなければ合格させないということになり、著しく「機会の平等」に反すると考えます。
 
Q:全県一区にすると優秀な生徒が一校に集まってしまい、中心から離れる高校ほどレベルが下がってしまう。格差が生まれるのではないかという批判があるようですが……。
A:確かに各高校が何の努力もしないで手を拱いていれば、成績が優秀な生徒は一つの高校を目指すようになるかも知れません。
 しかし、大切なことは、各高校が今までの伝統や歴史を踏まえ、また、これからの地域や日本、世界の動静を見据えた上で、高校は生徒や地域のために何ができるかを考え、独自性をもった学校をつくることであると考えます。多くの生徒を引きつける魅力があれば、どのようなところにあろうが、全県一区でその県中から生徒が集まります。
 現代日本の高校は、大学入試の結果だけを価値判断の評価尺度にしているところが多すぎると私には思えます。各学校の生徒にとって魅力あふれる高校とは何かを、校長が強烈なリーダーシップを発揮して生徒、全職員、地域の人々とともに考えることで、独自性のある高校をつくり上げることが大切だと思います。
 
Q:最後に一言どうぞ。
A:人間にとって何が幸せかといえば、選択肢が多いということ、多様な選択肢をもつことであると私は考えます。
 行政がしなければならないのは、一部の人々(例えば、その地区に住む人々)にのみ特権(そこの公立高校に、学区外の生徒と比較して簡単に入れるというのも特権)を与えないことです。大切なことは、「機会の平等」を保障することであります。
 一人ひとりの個人は、与えられた機会(チャンス)の平等を享受できるよう自己責任で自分自身の能力を高めなければなりません。近くにとても素晴らしい公立高校があり、そこに入学して勉強したいと考えたら、合格できるだけの成績を取らなければなりません。学区外の人よりも合格最低点が低くて合格できるのはフェアでなく、ずるい行為で教育的にもよくありません。機会の平等、つまり法の下の平等にも反します。
 行政は、「機会の平等」を担保にすることで人々に多様な選択肢を準備することが使命であります。個人は、自己責任、自己努力で選択肢の多い人生を歩むこと。この基本スタンスが、公立高校の全県一区制を考えるときには大切ではないかと思います。
以上